気とは
宇宙とすべての物質を構成する最も基本的な物質
生物の化生、生長、繁殖、死亡はすべて気の作用である
(「黄帝内経・素問*」より)
『気』という漢字が入った言葉は日本語にもたくさんあります。『そんな気がする』というのは、文字通り気を感じた時の言葉として使われていたのかもしれません。他にも『気合を入れる』『気のおもむくまま』『気にいる』等、『気』という存在を認めた上で考えると、非常に意味深い言葉がたくさんあります。
もともと人間は気を感じる力を備えていました。気の存在を否定しないでじっくり自分の感覚を味わってみると、すぐに『気』を感じることができるはずです。試しに掌を向かい合わせてみましょう。じんわりと温かい感じがしたり、ビリビリするような感じがしたり、感じ方は人それぞれですが、何か在る感じがすると思います。これが、『気』というものです。
気功の効用
人の体の中はいろいろな種類の『気』が廻っていて、人体機能がスムーズに動くように働いています。何らかの原因によって『気』の廻りが滞ると、体に不調が生じてしまいます。わかりやすい例をあげると、パソコンを同じ姿勢で何時間も続けていると、肩が凝ってしまうことがあります。これは、肩が固まって『気』の廻りがスムーズにいかなくなったからです。このような単純な肩凝りは、気功で『気』の廻りを良くしてあげると、あっという間に改善されます。このように、気功とは『気』の廻りを良くすることによって、心と体を調節するものです。そして、その効用は想像以上に幅広く、奥深いのです。以下に気功の効用を記述します。
体質改善・増強
気功は、神経系、呼吸系、血液循環系、消化系、内分泌系、細胞、DNAに作用するといわれています。風邪をひきやすい、疲れやすい、むくみやすい、冷え症、生理不順、慢性的な胃腸障害等の体質は、気功で改善することができます。他にも、眼精疲労、腰痛、肩凝りの改善等、あげればきりがないほど体を丈夫する効用があります。
病気の予防と治療
気功の修練によって、人体の各系統の機能が強化され改善されます。中国では臨床実験がさかんに行われていて、糖尿病や甲状腺機能疾患等の西洋医学では難病とされている疾患に対して効果が高いという結果が出ているという報告があります。もちろん、気功をやれば必ず病気が治るというものではありませんが、かなりの率で改善できる可能性は高いと考えられています。気功が個体の生命維持機能、自己治癒力に直接作用するからです。
美容・痩身・健美
肌の色つやが良くなったり、皺ができにくかったり、その他いろいろな効用があるので、アンチエイジングに気功は欠かせません。その効用が実感できれば、気功を手放すことはできないでしょう。いつまでも若々しさを保ちたい方は、ぜひトライしましょう。痩身というのは、ダイエットとは違います。ちょうど良い体重を維持できるという意味です。
長寿
体質増強と病気の予防・治療に効果があるとすれば、気功の修練が長寿に効果があることは言うまでもありません。現代の生物学では、生物の寿命は発育期の5~7倍といわれているらしいですが、人の発育期を25歳までとすると、正常な場合は125~175歳ということになります。しかし、現代人は正常に生活できておらず、生命体に負担をかける生活を送っているので、寿命がそんなに長くないことになっていると、気功の世界では考えられています。
思惟増強
思惟とは考えること、感覚・知覚と異なる精神作用のことです。気功を続けていると、自分にとって合うもの合わないものがはっきり分かるようになっていきます。これがさらに発展すると、『私はこうする』『私はこう思う』という、確固たるものが自然とでてくるようになります。もちろん、迷ったり揺らいだりすることがなくなるわけではありませんし、そのプロセスで人は成長していきますから、むしろそれは大切なことです。迷ったり揺らいだりする中で、『私はこう』という自分の中心をすっと掴めるようになることが最も望ましいと当研究所では考えています。これも、ひとつの思惟増強です。
知能開発
中国では英才教育として子どもに気功を習わせることがあるそうです。気功は全身の細胞を活性化させますから、当然脳の細胞も活性化されます。頭がすっきりするので、持っている能力を発揮することができるようになり、その結果として知能が開発されていきます。気功が認知症予防になるといわれるのも、こうした作用があるからです。
気功は、人類文化の貴重な宝物です。現代では、秘術的な伝統気功と異なった視点で科学的に気功を検証し、ヒトに潜んでいる潜在能力を開発しようとする研究が盛んに行われています。それは、人体生命の秘密を明らかにすることでもあり、新たな人体生命科学の誕生となる、といわれています。壮大な話ですが、科学の力で発展し、その副作用で人類は自らの首を絞めている昨今、新たな人類の発展を期するとすれば、気功や鍼灸などの代替医療といわれている分野に注目が集まっていくことでしょう。
気功はちょっとやっただけでは体操との違いが分からないことがあります。何回か続けて教室に通って、体で気功の良さを感じられるようになるまでには個人差があって、少し時間がかかることもあります。少々不安を感じても、続けていれば必ず良さを味わうことができるようになります。そのためにも、教室で習うだけではなく、覚えて帰って日常的に修練することが大切です。毎日の生活の積み重ねが今のあなたの心と体の状態を作っています。結果を得るには、その'毎日の生活'を変えていく必要があります。気功を生活の中にうまく取り入れて、少しずつでも積み重ねていくと、先にあげた気功の効用を実感できることと思います。